外国人が日本語を勉強するとき、いちばん難しいのがモノの数え方だといいます。外国人だけじゃなく、日本人だってよくわからないですよね。
一般的な数え方としては、一つ、二つ…。あるいは一個、二個…などがあります。
人は一人、二人…。動物は一匹、二匹…。大きな動物なら一頭、二頭…。紙のように薄いものは一枚、二枚…などと数えます。ところが日本語の特徴としてモノ固有の数え方があり、これがやっかいなのです。
たとえば豆腐は一丁、二丁…。ご飯は一膳、二膳…。イカは一杯、二杯…といったぐあい。
洋服は一着、二着…。クツは一足、二足…。テレビやラジオは一台、二台…。家は一軒、二軒…。あるいは一戸、二戸…。かと思いきや、アパートやマンションは一棟、二棟…。
電車は一両、二両…。飛行機は一機、二機…。このあたりなら、ほとんどの日本人は普通に使っていますよね。
少し難しくなって、障子は一張(はり)、二張…。机はその用途や脚の長さによって一脚、二脚…、あるいは一台、二台…、一卓、二卓…などと数えます。箪笥(たんす)は一棹(さお)、二棹…。ところが食べ物の羊羹(ようかん)も一棹、二棹…と数えます。
また同じモノでも形状によって数え方が違う場合があります。たとえば同じ薬でも、粉薬は一服、二服…ですが、錠剤の場合は一錠、二錠…。花も一本、二本…と数える場合と、一輪、二輪…がある。
鳥は一羽、二羽…と数えますが、ウサギも一羽、二羽…。これはウサギの長い耳を鳥の羽根に見立てた数え方でしょうか。(諸説あります)
また箸(はし)は2本で一膳と数えますが、同じ箸でも菜箸や火箸は一膳とはいわない。中身の入った段ボール箱は一個、二個…と数えますが、折り畳んだものは一枚、二枚…。
ちょっと変わった数え方に「お寿司」があります。板さんが「一貫(いっかん)」といった場合、これはお寿司の握り1個のことなのか、それとも2個で一貫なのか? 現在では「一貫=1個」説が有力ですが、地域によっては「一貫=2個」もあって、これまた悩ましい。
このように日本語の数え方というのは、じつに複雑怪奇(?)なのです。すべての名詞を一つ、二つ…と数えたら、さぞや簡単で便利だろうと思いますが、この複雑さこそが日本語的表現の奥深さ、味わい深さであり、「侘寂(わびさび)」にも通じる和心(わごころ)だといえるでしょう。
Z世代のみなさんも、日本語の数え方をマスターすれば「まわりから一目(いちもく)も二目(にもく)も置かれること間違いなし」ですよ。
(了)